顎関節症の原因には様々な原因があり、咀嚼筋の問題(Ⅰ型)・関節を固定する組織の問題(Ⅱ型)・関節の中の問題(関節円盤など)(Ⅲ型)・関節の変形による問題(Ⅳ型)などがあります。
しかしこれは、顎関節症の原因であり顎関節症を引き起こした原因ではない事がほとんどです。今までは、顎関節症の全てがかみ合わせの悪さによって起こると考えられていました。その為、かみ合わせに対してマウスピースを使用して歯医者さんが行っていました。ですが、痛みが改善し動きも改善するという治療効果が上がるのは約10%前後と厳しい結果が出ています。そのように考えれば、かみ合わせが悪いのが原因ではなく、他の何かが原因でかみ合わせが悪くなっていると考えられます。
以前は顎関節症の起こる原因は噛み合わせの悪さと考えられてきました。しかし、顎関節症について少しずつ解明され、噛み合わせの悪さだけが顎関節症の原因ではないことがわかってきました。
ここでは顎関節症が起こる原因についてご紹介いたします。
噛みしめ
顎関節症でお困りの方の多くはデスクワークでパソコンを触ることが多いことが特徴です。もちろん、パソコンと関係がない方もいらっしゃいますが、当院に顎関節症の治療でご来院いただいた方の74%の方が仕事でパソコンを長時間しています。
顎関節症の原因が、仕事でパソコンをすることではありません。パソコンで仕事をしている時に、無意識のうちに噛みしめをしてしまっていることが問題なのです。この噛みしめによって1型の顎関節症になってしまっているのです。また、猫背になっていると噛みしめをしやすくなってしまいます。
仕事中に噛みしめをしてしまっている感じがある方はお気を付け下さい。顎関節症が発症する原因となります。
また、持久力が必要なスポーツや強い力が必要なスポーツでは噛みしめが起こる可能性が高いです。
歯ぎしり
歯ぎしりの原因の多くはストレスや姿勢の悪さによると考えています。実際にストレスがたまった時には、”グッ”と噛みしめている方が多くいます。この時に、歯を左右に動かした状態が歯ぎしりです。
姿勢の悪さによって起こっている歯ぎしりの場合には、姿勢不良から慢性的に噛みしめが起こります。この噛みしめによって、常に同じ筋肉が使われることになります。その結果、使われ続けた筋肉に疲労がたまり、無意識のうちにストレッチを行うような動作になってしまします。これが歯ぎしりです。
その他、咬合不全も影響しています。歯の中にあたる場所とあたらない場所があると、無意識のうちにその歯を削る目的で歯ぎしりをしてしまうことになります。また、慢性副鼻腔炎や慢性鼻炎のように鼻の炎症によって歯ぎしりが引き起こされていることもあるといわれています。
歯ぎしりというと、『歯ぎしりの音なんてないし人にも言われたことがないから私には関係ない』と思われている方もいらっしゃると思います。ですが、音のしない歯ぎしりもあるのです。この音のない歯ぎしりをしている割合が70%以上という統計結果も出ています。
それでは、歯ぎしりを続けることによってどのような弊害があるのでしょうか?これには、噛みしめによる歯の根元の組織にかかる強い圧迫力が問題になります。この力によって、歯周辺の組織への血液循環不良が起こってしまいます。その結果、歯が痛んでしまったり動揺が起こってしまう可能性も考えられます。また、噛みしめを行っている筋肉への血液循環も悪化してしまうので咀嚼筋障害による顎関節症が発症する可能性が非常に高まります。
片噛み
顎関節症の方のには、食事をするときに片方で噛む癖がある方が多くいらっしゃいます。これは、顎関節症が発症してしまいやすい原因となります。
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片方で噛むとどちらの顎関節に負担がかかると思いますか?噛んでいる方の顎関節ですか?それとも、反対側の顎関節ですか?噛んでいる方の顎関節に負担がかかると思われる方も多いのではないでしょうか?実際には噛む側と反対側の顎関節に負担がかかります。 噛む側と反対側の顎関節に負担がかかる理由はてこの原理が働くためです。物は奥歯で噛む事がほとんどです。この時、噛んでいるところがてこの原理でいうと支点になります。そして、この支点が噛む側に偏っているので力は反対側にかかるになります。これはシーソーのような感じです。つまり、噛んでいる側の顎関節には広げられるような力がかかり、逆に噛んでいない側の顎関節には圧迫する力が加わることになります。
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このように顎関節にかかる力が不均衡になると、関節の状態が不安定になります。そうすると、噛む側の外側翼突筋が顎関節を安定させるために関節円板を前方に引き出します。そうすると、関節円板の厚い後方の線維が引き伸ばされ、前方の関節円板の厚みが増し顎関節が安定します。このようにして、関節円板の厚みを調節することによって顎関節を安定させようとします。
このような状態が一時的であれば顎関節には全く問題は起こりません。ですが、片噛みする癖となって毎回このような状態が起こると、関節円板の位置異常が起こってしまいます。
また、骨や筋肉は、それぞれの機能に最も適した形に変化します。これはドイツの外科医ユリウス・ウォルフ(1836~1902年)提唱した『ウォルフの法則』と呼ばれる法則です。『骨は長期間反復される機能に従って、その機能に最も適した形態に変化する』という法則です。
具体的には、筋肉は使えば引きしまり、使わなければ衰えてしまいます。骨も同様で長期間使っている方向に強くなります。逆に使わなければ、骨も弱ってしまいます。
これを顎関節症に置き換えると、片噛みをする癖がある方は噛む側の咀嚼筋は強くなり、逆の咀嚼筋は弱ってしまいます。また、噛む側の骨は強くなり、逆の骨は弱くなってしまいます。その結果、下顎骨の左右バランスが崩れてしまい下顎骨に変形が起こります。このような状態になると噛まない側の関節円板が破壊され顎関節症が発症してしまうことになります。
うつ伏せ寝
このような寝方をすると顔を横に向けて寝ることになります。そうすると、顔の重みを頬で受けることになります。頭の重みは4~5キログラムあります。咀嚼筋にこの重さを長時間かけることで、咀嚼筋内の血液循環は悪化してしまいます。そうすると、筋肉内の栄養状態が悪くなってしまい筋肉の委縮が起こってしまいます。さらに、この寝方が癖になっている場合には、顔面骨の歪みが起こることも考えられます。その結果、顎関節症が発症してしまいます。
電話対応
デスクワークの方で電話対応が主体のお仕事の方で電話を肩と顎ではさむ方がいらっしゃいます。この動作は、片方の顎に強い力がかかりますので顎関節症が発症する可能性が高い動作と考えられます。
その他、大きな声で話をするのが仕事であったり、吹奏楽器や歌を歌うことが多い方の場合に息を強く吐くことが習慣化され咀嚼筋にかかる負担が強まり顎関節症が発症する方もいらっしゃいます。
長時間のデスクワーク
仕事の不良姿勢によって顎関節症になってしまう方が多くいらっしゃいます。これは、仕事の緊張感から全身の筋肉に疲労がたまり、とくに首の筋肉を通して顎周辺の筋肉に悪影響を与える結果と考えることができます。とくにパソコンなどのデスクワークの場合には、姿勢が悪い状態で仕事をされる方が非常に多いのが現実です。正しい姿勢とは、骨盤の上に背骨があり、その背骨の上に頭がある状態です。この正しい姿勢に比べ、デスクワークの方の姿勢は背骨の上に頭はなく、背骨の位置より前に頭がある、いわゆる猫背の姿勢の場合がほとんどです。このような姿勢を続けると、首や肩に強いストレスがかかってしまい、その結果顎関節症が発症することになりかねません。
不良姿勢
人間の体は、少しの筋肉で身体を支えることができるように作られています。ですが、身体がゆがんでしまうと、姿勢を維持するだけでも力がいるようになります。つまり、身体にゆがみがあると”立っている”、”座っている”だけで身体がだるくなったり疲れてきたりすることになります。
身体のゆがみは足から起こることが多く、足の重心位置の異常によって骨盤のゆがみが起こり、骨盤の歪みによって背骨の歪みが起こります。この時、一番上位にある首に最も強くゆがみが起こってしまいます。そうすると、首の筋肉が硬くなってしまい顎関節の動きを制限してしまます。また、頭蓋骨にもゆがみが起こります。その結果、顎関節症が発症してしまいます。
仙腸関節は頭蓋骨と連動して動いています。その為、仙腸関節にゆがみが起こると頭蓋骨にもゆがみが起こります。たとえば、骨盤が歪んでいる場合にはウエストラインの高い方に首は傾く傾向があります。その結果、傾いている側の首の筋肉は過緊張を起こしてしまいその状態に連動して咀嚼筋も硬くなってしまいます。そうすると、顎関節の位置も変位してしまい顎関節症が発症します。また仙腸関節が歪むと背骨がゆがんでしまい、猫背などの不良姿勢が起こります。そうすると、身体のバランスを保つために様々な筋肉を使って姿勢を維持するようになります。このような状態が、長期間続くと背骨やそれを支えている筋肉、足や手、内臓の働きにも影響が現れるようになります。
顎関節症の場合、このような骨格のゆがみが筋肉バランスを壊してしまい咀嚼筋を中心とした顎関節周辺の筋肉に過緊張が起こり顎が左右にゆがんでしまいます。その結果、くいしばりや噛み合わせ不良が起こってしまいます。このような状態になるとさらに顎関節のゆがみが強まってしまいます。
このように考えると、顎関節症の発症に全身のゆがみが影響していることがご理解いただけると思います。また身体の歪みによって、首に傾きが起こり、その結果が噛みしめといった状態であるため、噛みしめを改善するためには全身の骨格バランスを改善しなければいけないということになります。
つまり顎関節症の根本的な原因は身体のゆがみであり、身体のゆがみを改善することで顎関節症が改善する事が考えられます。当院では、軽度もしくは中等度の顎関節症の場合には、背骨の位置関係を正常に矯正することによって顎関節症の改善を目指しています。その結果、多くの顎関節症は痛みや違和感が改善しています。この結果から考えても、顎関節症と姿勢に大きな関連があることがご理解いただけると思います。
あくび
あくびをした時に顎がガクッとしたことはありませんか?これは顎関節が脱臼しかけた状態と考えることができます。そして、このような状態を引き起こす主な原因こそが顎関節症なのです。健康な顎関節であれば、あくびをしたぐらいでは全く問題はありません。ですが、顎関節症特にⅢ型の顎関節症の場合は、あくびのように大きく口を開ける際に関節円板がひっかかってしまい、下顎骨の動きを制限してしまいます。そのため、開口障害が現れます。このように、関節円板がひっかかって下顎骨の動きに制限があるにもかかわらず無理やり大きな口をあけてしまった時に関節円板に損傷が起こってしまいます。そうすると、顎関節の捻挫が起こってしまうのです。これが、あくびの後に口が開かなくなるぐらいの顎関節部痛が起こるメカニズムです。
歯科治療
顎関節周辺は相互に関連しています。そのため、噛み合わせの変化は咀嚼筋や顎関節に影響を与えます。また、咀嚼筋の変化は噛み合わせの変化や顎関節の運動の変化を引き起こします。そして顎関節の変形は、咀嚼筋の運動制限や咬合不全を引き起こします。つまり、顎関節を構成している要素のどれか一つに問題が起こっただけでも顎関節症は発症しやすい状態になるということになります。そのため、歯科治療によって抜歯をしたまま放置しているような状態は顎関節症を引き起こしてしまう可能性が高まります。
顎関節症は、仕事が忙しい、ハイストレスな環境の方に特に発症しやすい傾向があります。ひとつの原因は、ブラキシズムと呼ばれる噛みしめの行動によっておこります。そして、片方で噛む癖も顎関節症発症の原因となります。片方で噛む癖ができる原因に、忙しさのあまりに歯科治療を途中でやめてしまっているということもあります。特に、虫歯の治療中に治療を受けることができなくなったり抜歯をした状態で歯を入れずに放置すると危険です。
虫歯
むし歯ができると、痛みがあるためにむし歯のないほうで噛むようになります。その結果、この噛み方が癖になってしまい、むし歯が治った後もその噛み方を続けてしまいます。そうすると、片方の顎関節に負担がかかり続け顎関節症になってしまうのです。
むし歯にならないように気をつけましょう。また、むし歯になった後の歯医者の選択にも注意が必要です。すぐに抜くような歯医者はもってのほかですが、むし歯の治療を少しずつしかせずに治療終了まで時間がかかる歯医者も注意が必要です。むし歯を早く治さなければ、噛み型の悪い癖がついてしまいます。
噛みあわせ
顎関節は、物を噛んだり話したりする時の動きに関与しています。そのため、硬いものを物を噛んだり長時間話をしたりすると顎に重だるさを感じることがあります。
また、かみ合わせが悪い方に顎関節症が多いことから噛み合わせが悪い方に顎関節症が発症すると考える方もいらっしゃるようです。そして、そのかみ合わせを改善することによって顎関節症は改善すると考え歯列矯正などを受けている方も多くいらっしゃいます。ですが、これだけで顎関節症が改善するということは考えにくいのが現実です。
実際に、噛み合わせが悪いというのはよくありません。ですが、このかみ合わせの悪さは咀嚼筋を中心とした筋力の低下によって起こっていることも多くあります。そのため、歯科での歯列矯正を行っても筋力が弱いためにすぐに噛み合わせが悪くなっている方も多くいらっしゃいます。
このように考えると、噛み合わせが悪くなる=筋力が弱いということもできます。
親知らず
親知らずとは、第3大臼歯の事を言います。親知らずという名前が付いた理由は、親知らずが生える年齢の頃には子供は親元を離れるため、親が歯の生え始めを知ることはないという理由といわれています。親知らずは、まっすぐ生えてくると問題はないのですが、斜めに生えてきたり前に生えてきたりすると、他の歯との位置関係がくるってしまい噛み合わせが悪くなってしまうことがあります。このような状態が長期間継続する事によって顎関節症が発症する事もあります。
それでは、親知らずが生えてきたらすぐ抜いたほうがいいの?という疑問をお持ちになる方もいらっしゃると思います。これは、間違いです。噛み合わせに問題がない場合には親知らずがあっても全く問題はありません。そのため、親知らずを抜く必要はありません。親知らずは、歯の中でも大きな歯です。親知らずに問題が起こった時、抜歯するのには大きな力が必要となります。この強い力によって顎関節症が発症していることが多いのも事実です。このように考えても親知らずの抜歯は、何か問題がある場合のみと考えた方がいいでしょう。
また、親知らずに問題が起こって抜歯する場合にも信頼のおける歯科医をお選びください。無理な抜歯などによって、顎関節症を発症させている歯科医もいます。ご注意ください。
冷え
寒くなってくると顎関節症の症状が悪化してしまうことがあります。特に1型の顎関節症の場合は、寒さによって症状が悪化しやすい傾向があります。
これは寒さによって、咀嚼筋が硬くなることと無意識の噛みしめが起こってしまう事によっておこる顎関節症です。寒くなると筋肉が硬くなるのは、咀嚼筋だけでなくすべての筋肉が硬くなってしまいます。
大きな声や吹奏楽
大きな声で話をするのが仕事であったり、吹奏楽器や歌を歌うことが多い方の場合に息を強く吐くことが習慣化され、咀嚼筋にかかる負担が強まり顎関節症が発症する方がいらっしゃいます。
このように顎関節症の発症は日常生活にかかわることが多くあります。このような状況が続く事によって、顎関節症が起こってしまうと当院では考えて治療を行っています。その結果、当院での治療症例2006名の方の84%の方は痛みや動きの異常が改善しました。これは、咀嚼筋の問題や関節を固定する組織の問題の場合には特に症状改善結果が出ています。
つまり、顎関節症は姿勢や背骨のゆがみなどが大きく問題になっています。

