咀嚼運動は、咀嚼筋と呼ばれる筋肉の活動によって下顎骨が動かされることによって行われます。つまり、咀嚼運動を行うことによって咀嚼筋を動かすことができるため咀嚼を行えば行うほど顎は発達し丈夫になります。
斉藤滋著の『噛まない子は本当にだめになる』によると、木の実や干し肉などの古代食を使った実験によって弥生時代の人々は1回の食事で4000回も噛んでいたと推測しています。それに比べて、昭和初期で1400回、現代では1回の食事で噛む回数は600回前後といわれています。これは、弥生時代の約1/7、昭和初期の1/2以下の咀嚼回数です。
これは、現代人が食べる物が柔らかいものが中心であることを意味します。昨日のブログに書きましたが、咀嚼運動は脳の活動に影響を与えます。脳の活性化のためにも咀嚼運動を行うようにしましょう。そのためには、少し硬いものを食事に混ぜていくと咀嚼回数は必然的に増えると考えられます。
これは、顎関節症が発症してしまっている方にはお勧めできません。顎関節症が発症してしまっている方は、顎関節症が改善してから食生活を見直すようにしてください。
外側翼突筋
外側翼突筋は、鼻の奥の蝶形骨と呼ばれる骨から起こります。
この筋肉は体の深部にあるためにイメージしにく筋肉です。
筋肉の走行は、下顎骨の内側にほぼ水平で上頭と下頭の2つの頭をもって起こります。
起始部
上頭:蝶形骨の側頭下稜、蝶形骨大翼の側頭下面
下頭:翼状突起の外側板の外面、上顎結節から起こり後方に向かう
停止部
下顎骨の関節突起・関節包・関節円板
下顎骨の運動に伴うこの筋肉の活動は、上頭は開口時に関節包や関節円板を前に引く事によって行われるのに対して、下頭は口を閉じる際に下顎骨頭を後ろに下げるという相反する作用を持っています。
この外側翼突筋の短縮に顎関節の開口運動や閉口運動が伴っているような場合には問題は起こりません。ですが、顎関節の運動が伴わない噛みしめが起こっている時には関節円板の損傷を引き起こすことがあります。これは、下顎骨の運動が行われていない状態にもかかわらず、外側翼突筋の過緊張が起こることによって関節円板が前方に引っ張られてしまうことに原因があります。
顎関節の運動時にクリック音がする方の場合には、外側翼突筋の過緊張が認められることが多くあります。
内側翼突筋
内側翼突筋は、鼻の奥の蝶形骨と呼ばれる骨から起こります。
この筋肉は体の深部にあるためにイメージしにく筋肉です。
筋肉の走行は、前上方から後下方へ斜めに走ります。
起始部
蝶形骨の翼状突起後面の翼突窩から起こり後下方に走ります。
停止部
下顎骨内面の翼突筋粗面
この筋肉によって、下顎頭を挙上(持ち上げ)します。また、下顎骨を反対側に引く効果もある筋肉です。
側頭筋
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側頭筋は、咀嚼筋の中で最も大きな筋肉です。(右のイラスト参照) 側頭筋は、耳の上付近にある扁平な筋肉で前方の筋肉はほぼ垂直に下に走行します。後部線維は、ほぼ水平に近い状態で前下方に走行します。 これらの筋肉は、集合して顎関節の前方の下顎骨筋突起と呼ばれる突起に付着します。 この筋肉の作用は、下顎骨を上方に持ち上げること以外に下顎骨を後方に引く作用があります。 |
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奥歯で、物をかみしめた時に耳の上で触れる筋肉です。
顎関節症の方は、この筋肉も硬くなっていることが多くあります。
また、顎関節症の方の約40%に側頭部や後頭部に頭痛を感じているという統計があります。側頭部の頭痛に関しては、側頭筋の過緊張状態が影響していることがほとんどです。さらに側頭筋の過緊張状態は、下顎骨頭の後方変位を引き起こします。そして、顎関節の後方変位が起こった状態では顎関節部の痛みや違和感が生じやすくなります。また、この状態においては頸の筋肉にも悪影響を与えてしまい頸の痛みや肩こりを引き起こしてしまうことも考えられます。
咬筋
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咬筋は、右のイラストのような筋肉です。 この筋肉は長方形の長細い筋肉で、外層・内層の2層で構成されます。外層の筋肉は、頬骨の前部・中部から起こり後下方に走行します。 内層の筋肉は、頬骨の中部・後部から起こりほぼ垂直に下方に走行します。 この2つの筋肉は、下顎角(えらの部分)で合流して、下顎骨に付着します。 この筋肉の作用によって、下顎を持ち上げ咀嚼運動(噛む運動)が行われます。 |
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咀嚼運動の意味
咀嚼運動を行うと、大脳の運動野・体性感覚野・視床・小脳の神経活動に増幅に認められたという報告があります。また、咀嚼能力の高い人は、骨に含まれるカルシウムの含有量が多く、開眼における片足立ちの時間が長かったという報告があります。
この報告から考えると、咀嚼運動は、食べのもを摂取するだけではなく、咀嚼運動を行うことによって脳をはじめとする全身の機能を正常に維持する、活性化する事が出来るということができます。
また、咀嚼運動によって視床の神経活動にも影響があらわれたということを考えると咀嚼運動を行うことによって情緒の安定やホルモンバランスを安定させる事が出来るともいえます。
これらのことから考えると、顎関節症が発症してしまうことによって咀嚼運動が少なくなってしまうと上記の逆のこと、つまり神経レベルの低下による自律神経失調症、骨の軟弱化による骨粗鬆症、平衡バランス能力の低下、情緒不安定、ホルモンバランスの乱れが引き起こされてしまう可能性があります。
重度の顎関節症を除き、軽度の顎関節症の方や健康な方は食事をするときにしっかりと噛んで食べるようにしましょう。

